知っておきたい、マレーシアの事業拠点のこと③
今回は、マレーシアでの清算および撤退について書いていきます。
設立はしたが、やむをえない理由だったとしても、撤退を決めた時はどれほどの時間と費用がかかるのかを考える必要があります。
会社清算の手続き
撤退をするにあたって、まず必要になるのが会社の清算です。
現地法人と会社では異なるのですが、今回は会社を例に説明します。
会社法には以下の4つの方法があります。
1:裁判所の命令による強制的倒産(会社法第218条)
[詳細]
債務者、債権者、所轄大臣などの「申し立て」により開始され、当該法律の規定に申し立ての原因が該当する場合に裁判所が倒産命令を発します。
2:株主による自主廃業(会社法第257条)
[詳細]
債務者自身がその定款に定める特別決議により手続きを開始します。1に該当する倒産だった場合は、自身で倒産を申告することはできません。
3:自主廃業(会社法第254条)
[詳細]
債権者に損害を与える可能性がある場合、債務者である会社自身の特別決議により手続きが開始されます。
4:登記抹消(会社法第308条)
[詳細]
マレーシア会社委員会の長である会社登記官がその権限において登記抹消に関する官報での告知後、法定機関となる1か月を経ても何人からの不服申し立てがない場合に行えます。
より詳細な条件はこちら!で確認してください
知っておきたい、マレーシア事業拠点のこと②
今回は、現地法人の設立手続きについて書いていきます。
日本側と現地法人側の両方で手続きがありますが、現地での設立手続きが複雑なので注意が必要です!
一般的には、海外で現地法人を設立する場合株式有限席に会社を選択することが多いので、今回は株式会社の設立手続きを説明していきます!(参考:wiki investment)
日本側手続き
日本側で行う手続きは少なく、
1:現地法人情報の決定(取締役構成や社名など)
2:申請書類の作成
3:申請書類へのサイン
4:親会社登記簿の公証、認証
5:現地定款のチェック
の5つだけです。
現地側手続き
(1)ネームサーチ
[詳細]
会社設立に際し、まずは希望する社名の候補を複数挙げて、社名の検索をマレーシア会社登記所に対して行う必要があります。社名が類似している可能性がある、既に使用されてる、などの問題がなければマレーシア会社登記所に手数料として30RMを支払い社名認可書を発行してもらいます。
認可が下りた社名は3か月間有効で、その間に必要な書類をマレーシア会社登記所に提出し登記を進める必要があります。また、社名を3か月の期限後も保持する場合は延長の申請を出す必要があります。
(2)会社登記
[詳細]
必要書類は下記の3つです。
①会社定款
第一取締役、第一秘書役に名前を記載しなければならず、第3者の前で署名する必要があります。内国歳入庁に印紙税として100RMを納める必要があります。
②第1会社秘書役による法定宣誓書
第一秘書役の署名が必要になります。
③取締役および発起人による法定宣誓書
取締役、発起人は最低2名必要となります。
その他、CA(Companise Act)の原本のコピー、社名を承認したマレーシア会社登記所からのレターのコピー、各取締役及び会社秘書の身分証明書のコピー、の提出が必要になっています。
同時に、日本側では親会社の登記簿膳本(公認・認証済)を準備しなければなりません。
(3)設立後の義務
[詳細]
設立後1か月以内に会社法で規定されている書類をマレーシア会社登記所に提出しなければなりません。
①株式の割り当てに関する申告書
②登記事務所住所の通知書
③取締役、経営者、会社秘書役の名簿
④有価証券の移動に関する申告書(株式譲渡が発生する場合)
*各フォーマットはこちらを参照!
これらの内容を取締役会で確認・決議し、届け出を行います。また、第1回取締役会の開催は書面決議でも可能です。下記が主な決議事項となります。
<主な決議事項>
①会社設立登記の完了および設立登記書の承認
②会社定款の承認
③最初の取締役の確認
④登記住所の決定
⑤会社秘書役の選任
⑥会社印章の採用
⑦株主名簿への確認
⑧発起人からの株式譲渡の決定
⑨外部監査人の選任(後日でも可)
⑩会計年度の決定(後日でも可)
(4)設立後第1回目の株主総会の開催
[詳細]
成立の日から18か月以内、または会計年度末の6か月以内のどちらか早い法に最初の年次総会を開催することが求められています。
会社設立書が交付されたら、会社は企業法人として機能することができ、告訴されたり訴訟を起こすことができるようになります。また、会社の社印により土地保有などが行え、会社を解散する場合には会社法に従って会社の資産を供出し、負債弁済の義務を負います。
おわりに
マレーシアでは、現地での手続きが多く期限のあるものもありますので注意して設立を行うことが求められます。
知っておきたい、マレーシアの事業拠点のこと①
今回は、マレーシアの事業拠点について書いていきます。
マレーシアで設立をするには、現地の会社法に準拠する必要があるので注意が必要です。
また、マレーシアではビジネスによってライセンスが必要になりますので、各進出形態を吟味しましょう!
設立の形態
マレーシアでは設立の形態ごとに特徴があります!
[現地法人]
区分;居住外国法人
特徴;出資者と別の法人格を有する。
外資100%出資が可能。
合弁会社の場合には、業種によって出資規制が異なる。
[支店]
区分;非居住外国法人
特徴;収益をあげることが可能。
[駐在員事務所]
区分;非居住外国法人
特徴;活動内容が、調査や情報収集のみに制限される。
営業活動は不可。
会社法規定の会社の形態について
現地法人の種類によって会社の形態が変わります。
[株式会社]
株主は会社に対して、引き受け価額の払い込みを行わなければならない。
株主は、引き受け価額を上限として責任を負う。
・非公開会社の場合
*株主2名以上、50名以下
*株式譲渡制限、株式・社債の公募禁止
*発起人1名以上、取締役2名以上、会計監査人1名以上
*株主名簿の作成必要有り
・公開会社の場合
*株主が2名以上
*決定総会が必要
*発起人1名以上、取締役2名以上、会計監査1名以上
*株主名簿の作成必要有り
[株式資本を有する保証有限責任会社]
・社員は保有株式の額面金額を上限として責任を負う
・出資者メンバー以外でも株式保有により利益の配当金受け取り可能
[株式資本を有しない保証有限責任会社]
・社員は出資金額を上限として責任を負う
・出資メンバー以外への利益の分配はできない
[無限責任会社]
・会社財産で会社債務を返済できないときは、各社員が直接会社債権者に弁済しなければならない(無限責任)
おわりに
会社の形態によって制限がありますので、現地法人の設立時には気を付ける必要があります!
知っておきたい、マレーシアの投資環境③
前回、マレーシアの投資環境の規制について書きました。
今回から、会社設立する時に気をつけなきゃいけない規制ではなく、逆にメリットとなるインセンティブについて書いていきます。
設立する分野を絞れば、ほかの業種よりも有利に立ち回れるでしょう!
マレーシアでの投資優遇措置の柱は大きく分けて2つあります。
今回はこの2つの柱について書いていきます!
その2つの柱とは……
①パイオニア・ステータス
②投資税額控除
の2つです! このたった2つの柱を理解するだけで会社設立が、知らない人に比べて大きく有利になります!
①パイオニア・ステータス
1つ目の優遇措置は「パイオニア・ステータス」です!
「パイオニア・ステータス」とは、一定条件を満たした企業に対して直接税・間接税の一部、または全部の免除を認める税制優遇措置の1つです。
認可許可を出すのはMIDA(マレーシア投資開発庁)で、製造業での基準は「付加価値のレベル、使用される技術の高さ、産業間の提携強化への寄与」などの特定の優先事項に基づいています。対象となる「奨励事業および奨励製品」についてはMIDAのウェブサイトから確認するのが良いでしょう(http://www.mida.gov.my/home/mida-worldwide-network/posts/#AsiaPacificInfo)。
基本的に「パイオニア・ステータス」が認められるのは製造業が中心ですが、農業、観光業、認可サービス業、研究開発などにも認められています。
しかし、「パイオニア・ステータス」は『所得への免税』となるので、初期投資費用の高い分野での会社設立を考えている場合は「パイオニア・ステータス」よりも「投資税額控除」の方がメリットは大きいでしょう!
②投資税額控除(ITA)
投資優遇措置のもう一つの柱が「投資税額控除」です。こちらもMIDAによって認可されることで優遇措置を受けることができます。
「投資税額控除」の内容は、最初に適格資本的支出(認可プロジェクトで使用される工場、プラントなどの設備に対する支出)が発生した日から5年以内に発生した適格資本的支出に対して60%の控除を受けることが出来る、というものです。
こちらは「パイオニア・ステータス」と異なり、支出に対する控除なので、初期投資費用の大きい分野で設立しようと考えている企業向けになります。
おわりに
マレーシアの投資優遇措置の柱は大きくわけて2つ。1つは「パイオニア・ステータス」、もう1つは「投資税額控除」です。それぞれかかる費用や収益に応じて選択することで、優遇措置を余すことなく享受できます。よく考えて申請するようにしましょう!
≫無料でもっと詳しく知りたい方はこちら!
知っておきたい、マレーシアの投資環境②
前回、マレーシアでの企業設立での禁止業種などについて書きました。
今回は禁止業種以外の規制について書いていきます。
特に、資本金の規制が業種別でありますので、資金の見積もりをする上では気をつける必要があります。
マレーシアの投資環境について②
マレーシアでの投資規制は禁止業種以外にも“出資比率規制”、“最低払込資本金”などの規制が各業種ごとに設けられています。
また、駐在員の滞在期間や現地人の雇用などにも規制や申請の必要などがありますので、しっかりと理解する必要があります。
資本比率規制と資本金規制について
以下の業種ごとに規制が定められています。
①国家の権益にかかわる事業
[規制内容]
国家権益に関わる事業(水、エネルギーなど)では、30%までに外資参入が制限されています。
②製造業
[規制内容]
国際貿易産業省により発行されるライセンスが必要になります。申請はマレーシア投資開発庁で行い、取得は株主資本が250万リンギット(約9万円)かつ従業員が75名以上いる製造業の株式会社に義務付けされています。
③サービス業
物流業、卸・小売り、その他別途法律で規定されている商品及びサービス(石油製品、医薬品など)を取り扱う会社を除く、その他の様々な販売形態のサービス業については最低払込資本金が100万リンギット(約35000円)と定められています。
→物流業
規制が特に厳しく、業種(陸運、海運、空運、倉庫)ごとに規制が細かく設定されています。
[規制内容]
詳しくはこちら!
→卸・小売業
最低払込資本金が販売形態(スペースや分類など)によって異なりますので、注意が必要です。
[規制内容]
詳しくはこちら!
その他の規制
その他の規制としては、為替、土地の所有、外国人駐在員の雇用制限、現地人の雇用があります。
①為替規制
②土地の所有規制
・2000万リンギット以上の価値がある不動産を直接取得する場合、かつ、ブミプトラ関係者や政府の不動産の所有権が希薄化する場合。
・非ブミプトラ関係者が、資産総額の50%以上を不動産が占め、かつその不動産の価値が2000万リンギットを超えるブミプトラ資本の会社または政府機関から株式等を直接取得する場合。
以上の2つの場合、土地の取得条件として、①30%以上のブミプトラ資本の出資 ②最低払込資本金が、㈠マレーシア人が50%超保有する場合は100000リンギット🉂外国人が50%超保有する場合は250000リンギット、でなければならない。
③外国駐在員の雇用制限
外資企業は、訓練されたマレーシア人が不足している分野では、外国人を雇用することが認められています。ただし、マレーシア国民の雇用を保護し、マレーシア国民が様々な職で訓練をされ、技術・技能を向上させるためにも、外資企業が派遣出来る外国駐在員の人数、期間などに制限があります。
派遣できる外国人駐在員の職種などにより区分がなされています。
詳しくはこちら!
④現地人の雇用に関する規制
マレーシア雇用法では、外国人の雇用を優先するために現地人を解雇することを禁止ています。人員削減の必要がある場合には、現地人と同等の能力を有する外国人から雇用する必要があります。
終わりに
以上、マレーシアの投資環境における規制についてでした。
マレーシアの規制は区分が細かく混乱しやすいので、よく要件を確認する必要があります!
知っておきたい、マレーシアの投資環境①
今回から数回かけてマレーシアの投資環境について説明していきます。
まず、マレーシアでの企業設立をするにあたって注意すべき“投資規制”について説明していきます。
マレーシアでの企業設立では、禁止業種がありますのでそれに注意しましょう。
マレーシアの投資規制について①
マレーシアは多民族国家であり、民族間の経済格差が長い間問題となっていました。
しかし、近年「ブミプトラ(*)政策」と呼ばれる政策の施行により、ブミプトラ企業への支援やブミプトラの教育環境の向上及び就労の支援が行われるようになりました。
*ブミプトラ=連邦憲法により定義されるマレーシア系の個人及び先住民のこと
ブミプトラ政策により、外国資本の企業設立に対する規制が大幅に緩和され、ほとんどの業種で外国資本100%出資が認められているのが現在のマレーシアです。
禁止業種について
ほとんどの業種、とは言っても中には禁止業種となっている業種も存在します。
以下の業種は「マレーシア流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン」によって定められている禁止業種です。
1:スーパーマーケット、ミニマーケット(販売床面積3000m2未満)
2:食料品店、一般販売店
3:コンビニエンスストア(24時間営業)
4:新聞販売店、雑貨店
5:薬局(伝統的なハーブや漢方薬を販売する薬局)
6:ガソリンスタンド(コンビニエンスストア併設店を含む)
7:常設市場(ウォットマーケット)
8:常設歩道店舗
9:国家の戦略的利益に関連する事業
10:布屋、レストラン(非高級店)、ビストロ、宝石店など
これらの業種は禁止業種として指定されていますので、企業設立において注意するようにしましょう。
次回は資本金規制などについて書いていきます。
より詳しくはこちら!
マレーシアってどんな国?(後編)
マレーシアってどれくらいお金かかるの?
次に「マレーシアでかかるお金ってどれくらい?」という疑問にお答えします。
マレーシアまでは飛行機の直行便で7時間程度、だいたい5万円で行くことができます。 観光で行く人がマレーシアは多いと思われやすいのですが、それも納得のお値段ですね。
マレーシアの通貨は、マレーシアリンギット(略称 RM,MYR)、というもので、日本円とのレートは「1円:28リンギット」(2016年4月7日現在)となってます。 また、補助通貨としてセン(略称 ¢)があり、100センで1リンギットとなっています。 物価は日本のだいたい1/3程度で、消費税も6%と観光だけでなくマレーシアで駐在するのにもおすすめです。
「でも、観光と駐在じゃいろいろ違うんじゃ……」
と考える方が多いと思います。 そこで、観光と駐在で最も違う「賃貸とホテル」について解説します!
マレーシアのホテルと賃貸について
【ホテルについて】
マレーシアでホテルといえばほとんどが首都であるクアラルンプールになります。 ホテルの相場は平均すれば1万5000円ですが、ホテルによっては9000~2万2000円の幅があります。
ただし、ホテルを選ぶ場合に「料金に++」がついている場合は注意が必要です。 例えば「RM530++」という料金設定だった場合、RM617.98かかってしまいます。 料金についた++は、国で定めているサービス税(6%)とホテルのサービス税(10%)を意味しています。 なので、「RM530++」の場合は「(RM530×1.06)×1.1=RM617.98」という計算式になるのです。
【賃貸について】
マレーシアの賃貸は大きく分け都心と郊外で値段が変化します。
【家具付きコンドミニアム】 1LDK/クアラルンプール都心 : 1,500 – 3,600リンギット/月(平均 71400円) 1LDK/クアラルンプール郊外 : 1,000 – 2,000リンギット/月(平均 8400円)
2LDK/クアラルンプール都心 : 4,000 – 6,000リンギット/月(平均 140000円) 2LDK/クアラルンプール郊外 : 1,200 – 3,200リンギット/月(平均 61600円)
【スタジオタイプ(家具付き)】 クアラルンプール都心(45平方メートル):平均 RM2604/月(約73000円) クアラルンプール郊外(45平方メートル):平均 RM1617/月(約45000円)
【アコモデーションタイプ(家具付き)】 クアラルンプール都心(85平方メートル):平均 RM4002/月(約112000円) クアラルンプール郊外(85平方メートル):平均 RM1995/月(約 56000円)
都心と郊外で大きく値段が変わるのがわかると思います。 日本人で駐在している方は、クアラルンプール郊外にあたる「モントキアラ地区」にほとんどの方が住んでいます。 郊外からはタクシー等で都心へ移動するのが基本となっています。
<出典:https://www.expatistan.com/cost-of-living Expatistan> <出典:http://www.micci.com/ MICCI>
おわりに
前回と今回でマレーシアについて理解が深まったのではないでしょうか!
より詳しく知りたい方はこちら!をクリック!